C001 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)
(1) 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)は、在宅での療養を行っている患者であって、疾病、傷病のために通院による療養が困難な者に対して、患者の入居する有料老人ホーム等に併設される保険医療機関以外の保険医療機関が定期的に訪問して診療を行った場合の評価であり、継続的な診療の必要のない者や通院が可能な者に対して安易に算定してはならない。例えば、少なくとも独歩で家族・介助者等の助けを借りずに通院ができる者などは、通院は容易であると考えられるため、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)は算定できない。なお、訪問診療を行っておらず外来受診が可能な患者には、外来において区分番号「A001」再診料の「注12」地域包括診療加算又は区分番号「B001-2-9」地域包括診療料が算定可能である。
(2) 在宅での療養を行っている患者とは、保険医療機関、介護老人保健施設又は介護医療院で療養を行っている患者以外の患者をいうこと。
ただし、「要介護被保険者等である患者について療養に要する費用の額を算定できる場合」(平成20年厚生労働省告示第128号)、「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」(平成18年3月31日保医発第0331002号)等(以下「給付調整告示等」という。)に規定する場合を除き、医師の配置が義務づけられている施設に入所している患者については算定の対象としない。
(3) 「在宅患者訪問診療料(Ⅰ)」の「同一建物居住者の場合」は、同一建物居住者に対して保険医療機関の保険医が同一日に訪問診療を行う場合に、患者1人につき所定点数を算定する。同一建物居住者とは、基本的には、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に掲げる建築物に居住する複数の者(往診を実施した患者、末期の悪性腫瘍と診断した後に訪問診療を行い始めた日から60日以内の患者、又は死亡日からさかのぼって30日以内の患者を除く。)のことをいう。
(4) 保険医療機関の保険医が、同一建物に居住する当該患者1人のみに対し訪問診療を行う場合は、「同一建物居住者以外の場合」の所定点数を算定する。
(5) 同居する同一世帯の複数の患者に対して診察をした場合など、同一の患家において2人以上の患者を診療した場合には、(3)の規定にかかわらず、1人目は、「同一建物居住者以外の場合」を算定し、2人目以降の患者については、区分番号「A000」初診料又は区分番号「A001」再診料若しくは区分番号「A002」外来診療料及び第2章特掲診療料のみを算定する。この場合において、2人目の患者の診療に要した時間が1時間を超えた場合は、その旨を診療報酬明細書の摘要欄に記載し、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「注5」に規定する加算を算定する。
(6) 「1」は、1人の患者に対して1つの保険医療機関の保険医の指導管理の下に継続的に行われる訪問診療について、1日につき1回に限り算定するが、区分番号「A000」初診料を算定した初診の日には算定できない。
ただし、区分番号「C108-2」在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料を算定する場合に限り、1人の患者に対して2つの保険医療機関の保険医が、1日につきそれぞれ1回に限り算定できる。なお、この場合においても、区分番号「A000」初診料を算定した初診の日には算定できない。
(7) 「2」は、当該患者の同意を得て、計画的な医学管理のもと、主治医として定期的に訪問診療を行っている保険医が属する他の保険医療機関の求めを受けて、当該他の保険医療機関が診療を求めた傷病に対し訪問診療を行った場合に、求めがあった日を含む月から6月を限度として算定できる。ただし、当該他の保険医療機関の求めに応じ、既に訪問診療を行った患者と同一の患者について、当該他の保険医療機関との間で情報共有し、主治医である保険医がその診療状況を把握した上で、医学的に必要と判断し、以下に該当する診療の求めが新たにあった場合には、6月を超えて算定できる。また、この場合において、診療報酬明細書の摘要欄に、継続的な訪問診療の必要性について記載すること。
ア その診療科の医師でなければ困難な診療
イ 既に診療した傷病やその関連疾患とは明らかに異なる傷病に対する診療
(8) (7)の前段の規定にかかわらず、別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者については、6月を超えて算定することも差し支えない。この場合において、診療を求めた当該他の保険医療機関に対し、概ね6月ごとに診療の状況を情報提供するとともに、診療報酬明細書の摘要欄に、別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者のいずれに該当するかを記載すること。
【厚生労働大臣が定める疾病等の患者】
末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー症、パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上かつ生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る。))、多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群)、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、後天性免疫不全症候群若しくは頸髄損傷の患者又は人工呼吸器を使用している状態の患者
(9) 「1」の算定については週3回を限度とするが、(8)に規定する厚生労働大臣が定める疾病等の患者についてはこの限りでない。
(10) 「1」について、診療に基づき患者の病状の急性増悪、終末期等により一時的に週4回以上の頻回な訪問診療の必要を認め、当該患者の病状に基づいた訪問診療の計画を定め、当該計画に基づいて患家を定期的に訪問し、診療を行った場合には、
ア 当該訪問診療が必要な旨
イ 当該訪問診療の必要を認めた日
ウ 当該訪問診療を行った日
を診療報酬明細書に付記することにより、1月に1回に限り、当該診療を行った日から14日以内について14日を限度として算定することができる。
(11) 定期的・計画的な訪問診療を行っている期間における緊急の場合の往診の費用の算定については、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)は算定せず、往診料及び再診料又は外来診療料を算定する。ただし、当該緊急往診を必要とした症状が治まったことを在宅での療養を行っている患者の療養を担う保険医が判断した以降の定期的訪問診療については、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の算定対象とする。
(12) 訪問診療を実施する場合には、以下の要件を満たすこと。
① 当該患者又はその家族等の署名付の訪問診療に係る同意書を作成した上で診療録に添付すること。
② 訪問診療の計画及び診療内容の要点を診療録に記載すること。「2」を算定する場合には、主として診療を行う医師である保険医が所属する他の保険医療機関が診療を求めた傷病も記載すること。
③ 訪問診療を行った日における当該医師の当該在宅患者に対する診療時間(開始時刻及び終了時刻)及び診療場所について、診療録に記載すること。
(13) 「注4」に規定する乳幼児加算は、6歳未満の乳幼児に対して訪問診療を実施した場合に、1日につき1回に限り算定できるものとする。
(14) 「注6」に規定する在宅ターミナルケア加算は、死亡日及び死亡日前14日以内の計15日間に2回以上往診又は訪問診療を行った患者が、在宅で死亡した場合(往診又は訪問診療を行った後、24時間以内に在宅以外で死亡した場合を含む。)に算定する。この場合、診療内容の要点等を診療録に記載すること。また、ターミナルケアの実施については、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ、患者本人及びその家族等と話し合いを行い、患者本人の意思決定を基本に、他の関係者との連携の上対応すること。
(15) 「注6のイの(1)」に規定する「在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院であって別に厚生労働大臣が定めるもの」とは、「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の第9在宅療養支援診療所の施設基準の1の(1)及び(2)に規定する在宅療養支援診療所、第14の2在宅療養支援病院の施設基準の1の(1)及び(2)に規定する在宅療養支援病院である。
「注6のイの(1)の①」に規定する「病床を有する場合」、「注6のイの(1)の②」に規定する「病床を有しない場合」とは、同通知の第9在宅療養支援診療所の施設基準の2の(1)及び(2)、第14の2在宅療養支援病院の施設基準の2の(1)の規定による。「注6のロ」についても、この例によること。
(16) 「注6のイ」及び「注6のロ」に規定する有料老人ホーム等に入居する患者とは、以下のいずれかに該当する患者をいう。
ア 区分番号「C002-2」施設入居時等医学総合管理料の(3)において施設入居時等医学総合管理料の算定患者とされている患者
イ 障害者総合支援法に規定する障害福祉サービスを行う施設及び事業所又は福祉ホームに入居する患者
ウ 介護保険法第8条第19項に規定する小規模多機能型居宅介護又は同法第8条第23項に規定する複合型サービスにおける宿泊サービスを利用中の患者
(17) 「注6」に規定する酸素療法加算は、悪性腫瘍と診断されている患者に対し、死亡した月において、在宅酸素療法を行った場合に算定する。在宅酸素療法を指示した医師は、在宅酸素療法のための酸素投与方法(使用機器、ガス流量、吸入時間等)、緊急時連絡方法等を装置に掲示すると同時に、夜間も含めた緊急時の対処法について、患者に説明を行うこと。酸素療法加算を算定した月については、区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料、区分番号「C107」在宅人工呼吸指導管理料、区分番号「C157」酸素ボンベ加算、区分番号「C158」酸素濃縮装置加算、区分番号「C159」液化酸素装置加算、区分番号「C164」人工呼吸器加算、区分番号「J018」喀痰吸引、区分番号「J018-3」干渉低周波去痰器による喀痰排出、区分番号「J024」酸素吸入、区分番号「J024-2」突発性難聴に対する酸素療法、区分番号「J025」酸素テント、区分番号「J026」間歇的陽圧吸入法、区分番号「J026-2」鼻マスク式補助換気法、区分番号「J026-3」体外式陰圧人工呼吸器治療及び区分番号「J045」人工呼吸は算定できない。
(18) 「注7」に規定する看取り加算は、事前に当該患者又はその家族等に対して、療養上の不安等を解消するために充分な説明と同意を行った上で、死亡日に往診又は訪問診療を行い、当該患者を患家で看取った場合に算定する。この場合、診療内容の要点等を当該患者の診療録に記載すること。
(19) 「注8」に規定する加算は、在宅での療養を行っている患者が在宅で死亡した場合であって、死亡日に往診又は訪問診療を行い、死亡診断を行った場合に算定する。ただし、「注7」に規定する加算には、死亡診断に係る費用が含まれており、「注8」に規定する加算は別に算定できない。以下の要件を満たしている場合であって、「情報通信機器(ICT)を用いた死亡診断等ガイドライン(平成29年9月厚生労働省)」に基づき、ICTを利用した看護師との連携による死亡診断を行う場合には、往診又は訪問診療の際に死亡診断を行っていない場合でも、死亡診断加算のみを算定可能である。この場合、診療報酬明細書の摘要欄に、ICTを利用した看護師との連携による死亡診断を行った旨記載すること。
ア 当該患者に対して定期的・計画的な訪問診療を行っていたこと。
イ 正当な理由のために、医師が直接対面での死亡診断等を行うまでに12時間以上を要することが見込まれる状況であること。
ウ 特掲診療料の施設基準等の第四の四の三の三に規定する地域に居住している患者であって、連携する他の保険医療機関において区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料の在宅ターミナルケア加算若しくは「C005-1-2」同一建物居住者訪問看護・指導料の同一建物居住者ターミナルケア加算又は連携する訪問看護ステーションにおいて訪問看護ターミナルケア療養費を算定していること。
(20) 患家における診療時間が1時間を超える場合の加算の算定方法、保険医療機関の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合又は海路による訪問診療を行った場合であって特殊な事情があった場合の在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の算定方法及び訪問診療に要した交通費の取扱いは、往診料における取扱いの例による。
(21) 往診の日又はその翌日に行う訪問診療の費用については、算定できない。ただし、在宅療養支援診療所若しくは在宅療養支援診療所と連携する保険医療機関(特別の関係にある保険医療機関を含む。)又は在宅療養支援病院の保険医が、往診及び訪問看護により24時間対応できる体制を確保し、在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の連絡担当者の氏名、連絡先電話番号等、担当日、緊急時の注意事項等並びに往診担当医及び訪問看護担当者の氏名等について、文書により提供している患者に対して、往診を行った場合はこの限りではない。
(22) 「注11」に規定する交通費は実費とする。


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